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レッドヘリングの足跡 (日記小説)  (2008/03/18)
〜〜〜〜〜〜
「ヘリングー」
 呼ばれた声に反応して黒いシルクハットの男がローブを翻した。その顔はいつものように白い仮面に覆われている。
 変わり者のレッドヘリングに気安く声をかけてくる人間など限られているので、レッドヘリングは振り返らなくともその声の主には既に見当がついていた。
「なにか用か?コペル」
 動きやすそうな黒い服に身を包み、腰に二丁の銃が提げた女が走ってくるのが見える。シュバルツバルド共和国から流れてきたガンスリンガーという職業だったが最近ではミッドガッツでも珍しくなくなっていた。
「ヘリングはいつもその黒い帽子だけど、トンガリ帽子は持っていないの?」
「いや、持ってはいるぞ」
 無意識に帽子のずれを直してから、ローブの中から丸まった緑色のトンガリ帽子を取り出した。
「でもヘリングがその帽子かぶってるの見たこと無いな」
 トンガリ帽子を見てコペルの黒髪の間から生える三角の犬の耳がピンと立った。
「気に入らんものは極力使わぬ主義だ」
「使わないんだったら使ってみたいんだけど、だめ?」
「構わんが・・・」
 レッドヘリングはコペルの帽子へ伸ばした手をひょいと避ける。
「主人に頼めば容易く手に入ろう?」
「んー・・・そうだけど、できれば頼りたくはないし」
 レッドヘリングがふむ、と満足そうに頷く。
「なるほどな、持っていくがいい」
「お金は?」
 放られた帽子をコペルが慌てて受け取る。
「私の使っていたものに付ける値など無い・・・・」
 そう言いかけコペルが不満そうな顔に気づく。
「と、言いたいがそれでは対等ではないな。まあ、こんなところか?」
 そう言ってレッドヘリングが二本の指を立てて見せ、コペルが歓声を上げる。

「ありがとねー!」
 手を振るコペルをしっしと追い払い一人になったレッドヘリングは空を見上げる。
 雲ひとつない夏空は青色がどこまでも透き通っていた。
「私も俗物だな。手放さねば力の抑制もできんとは・・・」
 キュっとシルクハットをかぶり直すと、大きく地面を蹴る。
「ではゆこうか、『レッドヘリング(孤独)』よ。本当の魔法を探す旅へ」
 レッドヘリングの体は羽のように舞い上がり、赤い屋根を蹴ってあっという間に空高くへと昇り、消えた。
 


〜〜〜別に読まなくてもいい解説〜〜〜
 レッドヘリングの持論・・・・利便に劣るようなこだわりなど取るに足らん。

 平たく言えばシルクハットの方が好きだけど、やっぱりトンガリ帽子強いよ!だけど本当にシルクハットが好きなら、ちょっとの不便さなんて苦にならないはずだ!ってコトです^^;

 だからコペルさんがトンガリ帽子を欲しがってたときにもう二度とかぶらない決意の為に彼はトンガリ帽子を手放したのでしたー。
 でも手放さなきゃ自制できない自分の弱さに気づいたレッドヘリングは少し悲しくなるのでした。ちゃんちゃん。
 
 ところでレッドヘリングの言う「本当の魔法」ってなんなんだろうね?
カテゴリ:日記小説
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