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僕と猫(6) 

「俺と猫」(6)  ツヴァイト
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 心臓がばっきゅんばっきゅんと脈打ち始め、息が苦しくなって口からはーっはーっ、という荒い息が漏らしながら、恐れと不安で手のやり場に困り小さな女の子の前で中空で両手をうろうろと彷徨わせる姿は端から見たら、凄く危ない一線を越えかけてる感じのおじちゃんに見えたかもしれないが、今の俺にはそんなことを気にする余裕すら無かった。
「っは」
 その時俺の目が黒い物体を視界に捉えて動きを止めた。
(ま、まさか!このネコミミのせいで・・!?)
 俺の目に映ったのは二つの黒い三角形・・・本物のネコのミミのようにキョロキョロと周囲を探っている、るちるちゃんの頭に乗っかったネコミミでした。
 ごきゅり・・・
 俺は恐る恐ると二つの手をるちるちゃんの頭に伸ばし、るちるちゃんは俺の手を目をぱちぱちさせて眺めていました。
 ぐあし!
 そしてスローモーションで伸びた両腕は、獲物に飛び掛る肉食動物のような俊敏な動きで二つのネコミミを捕らえて・・・引っ張る!
「にゃー!!」
 本物の猫の耳の感触とるちるちゃんの声に俺はちょっと怯みましたが、
「てい!」
「うにゃぁぁぁぁぁ!!」
 思い切ってさらに、ぐぐぃと斜め上に引っ張った。しかしるちるちゃんの頭まで一緒についてきてしまうばかりで一向に取れる気配がありません。
(と、取れない!)
 耳が取れる前に首がスポンと取れるイメージがフラッシュバックしたので、慌てて力を抜いて落ち着こうと三回深呼吸しました。
(いや待て、ネジ式だったのかもしれない。それとも・・・まさか既に脳に・・・っ!?)
 と、その時、頭上にスっと影が射したたので、俺は思わず顔を上げた。
「・・・何をしているのですか?」
 それは軽蔑のような・・・哀れみのような、はたまた心配しているような、いわく言いがたい表情で俺を見下ろす楼香さんでした。
「ろ、楼香さん!!」
 しかし俺にはそんな楼香さんが、今この状況を打開してくれるメシアに見えていました!そう、あの漢字で救世主と書いてメシアです!
「楼香さん!大変なんだ!るちるちゃんがおかしいんだ!」
「落ち着いてください。私には大変なのも、おかしいのもツヴァさんに見えました」
 そう言って楼香さんは俺を手で制します。そして直後に起こった出来事に俺は耳を疑いました。
「ろかさぁぁん!!マスターがいじめるのー!」
 そう、はっきり人間様の言葉で操って、るちるちゃんはしゃくりあげながら楼香さんの胸に飛び込んだのです。
「!?」
 一体全体どういうことでしょう!!俺はぽかんと口を開けてその様子を眺めてしまいました。
 楼香さんはるちるちゃんの頭を優しくなでながら、るちるちゃんの頭越しにソードメイスみたい怖い目で俺を見るので慌てて口を開きます。
「ち、違うんですよ!本当にさっきまでオカしかったんですって!」
 俺はるちるちゃんに騙されたのでしょうか?それとも徹夜の疲労と睡魔の作り出したマボロシだったのでしょうか? 
「って、あれ?楼香さん何を持ってるですか?」
 るちるちゃんの背中に回した左手には年季の入った小さなシブい紫色の箱が掴まれていることに気がつきました。言いながらも俺はその箱に見覚えがありました。その名も『古い紫色の箱』というなんひねりもないネーミングで呼ばれている魔法のアイテムで、開けると武器とか防具とかゴミとかが飛び出してくる不思議アイテムだ。
「あ」
 そこで俺はなんで楼香さんがなんでこんなご都合主義的なタイミングで現われたのかということに気づきました。そうだ、きっと律儀な楼香さんのことだから昨晩のお礼をしに来たに違いありません。
「・・・」
 楼香さんは数秒の間をおいて手にした箱をるちるちゃんに手渡しました。
「・・・・にゃ?」
「あれ!?」
 二人の温度差のある驚きの声が重なります。
「楼香さん!渡す人を間違ってませんか!?」
「るちるさんを苛める人のためじゃありませんから」
「だから誤解なんですって!!」
 俺は分からず屋の楼香さんにやりきれなくなって空に向かって叫びます。
 楼香さんは俺の声を無視して紫の箱を持って見上げる るちるちゃんに優しい笑顔で「どうぞ」と言って促します。
「わーい!」
 るちるちゃんもさっきまでウソ泣きだったんじゃないかと思うような笑顔で箱を掲げてくるくる回って喜びました。そしてもう何がどうなってもあの箱が俺の手に渡ることがあり得ないということを悟った俺は歯をギリギリ鳴らして眺めるしかありません。
「どうせ染料とかしか出ない紫のゴミ箱なんていらな・・・」
「帽子だぁ!」
 俺の最後の抵抗はるちるちゃんの元気いっぱいの声によって無残に砕け散りました。楼香さんが「良かったですね」と言ってるちるちゃんの頭をなでているけど、何が良かったのかさっぱり判りません。
「ちょ、ちょっと待て!」
「倉庫行ってくるね!」
「いってらっしゃい」
 喜び絶頂のるちるちゃんに俺の声置いてけぼりにして走り出すと、あっという間に路地を曲がって見えなくなってしまいました。
「では、私も失礼しますね」
 るちるちゃんが消えた後、楼香さんがぺこりとお辞儀をして去っていきましたが、少女の消えた路地を見たまま固まっていた俺には楼香さんの声にも居なくなったことにも気づくことはできませんでした。

めでたしめでたし



僕と猫(今までの全部)
~~~~

(ノ=w=)ノ おーわり♪

書き方が二種類混じってっからまとめて読むと違和感あるかもしれねー(=w=;)
まあ暇なとき書き直すぜ
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コメント

ツヴァさんさんざんすぎるぜ=w=
しかしさすが兄のことはよくわかってらっしゃるオチで

おもしろかったー!(*'ヮ')
個人的添削。
るちは大抵誰でもちゃん付けなのですよー

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