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ある草原の二人 

 起伏の激しい草原、いや丘だろうか。暖かい日差しの下で二人は丘の中でも一際高い場所に座って遠くを眺めていた。一人は麦藁帽子から深緑の髪が飛び出した青年をちょい過ぎた感じの旅人風の男でした。もう一人は男より頭一つ分はゆうに小さい若草色の髪の少女でした。
「ねえフレーゼ」
 男が遠くを見たまま言うと、少女は何ですかと答えるように男の横顔を見ました。
「僕は最近気づいたんだ」
「・・・?」
 男は膝の上に置かれた明るい緑色の輪の中に「ヤ」と書かれた茶色い皮表紙の本を開いて紙の上に視線を落とした。
「覚えてる?誰も、間違えてる人なんていないっていう話」
「はい」
 少女はこくりと頷きました。
「誰だって次の瞬間をちょっとだけでも幸せにする為に今を必死に考えて生きているんだって思っていた」
「はい」
 少女はまた何か言い出したぞこの男、と思いましたが素直に頷きました。
男は相変わらず視線を本に落として読むでもなくぱらぱらとページをめくっています。
「でも違うんだ」
 男は真ん中を少し過ぎたあたりで手を止めると、ちょっと熱を込めて言いました。
「・・・何が?」
「いるんだよ、本当に」
 この男はいつも遠まわしに話すので話が見えなくて困ります。
「本当に、本当に何も、後先も、自分がやりたいことだったのかも判らずに行動する人っていたんだよ」
「ふーん」
 なにやら結論っぽいことを言っていますがやっぱり話が見えないのでフレーゼは気の無い相槌を打ちました。一方男の方はそんな少女の様子にも気づかない様子で本を両手で持ち上げました。
「これはとても危険な物語だ。こんな盛り上がりも結末も、いやキャラクターさえもできていない物語をこのまま続けさせちゃいけないと思う」
「そうですね」
 少女は足元の小さな黄色い花を丁寧に摘み取りながら答えました。
「だから僕はこうしようと思う」
「え?」
 今度はなんだろうと思って少女は男に視線を戻しました。
「えい」
 男は膝に本を戻すと左側のページをまとめて3枚くらいびりっとやぶきました。良い子は真似しないでください。
「あ」
 更に手にしたページをびりびりやぶって空に向かって投げました。紙片は爽やかな風に乗ってくるくる回りながら草むらに落ちたり空に舞い上がったりしてすぐに見えなくなりました。

 フレーゼはそんな男の行動を見てごみはちゃんと持ち帰らないといけないと思いました。





終わったのか・・・・?
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