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外側へ続く物語(3) 

             ヤドリ⇔ハク


 アカデミー図書館の入り口にヤドリは立っていた。
「おいハク、本とやらはあいつらに渡したのか?」
 奥の机に向かい合って座っている男女を見とめるとボソリと呟いた。
「うん、間違いない」
 ヤドリの呟きにハクと呼ばれた何かが囁いた。
「ったく、面倒なことしやがって・・・」
「時間も無かったし、こんなに早くヤドリが見つかると思わなかったんだ」
「後で全部話してもらうからな」
 その時、背の高い白い神官衣の男がヤドリを邪魔そうに見下ろしながら脇を通り過ぎた。
「んじゃ、いくぜ。ハク、てめーは姿消しとけよ」
 気を取り直してヤドリが奥に向かい合って座っている二人へ歩み寄る。
「なあ・・・」
 しかしすぐに言葉に詰まる。
(ヤベ、どんな本か聞いてねーな)
「なんでしょうか?」
 ヤドリが二の句を考えるよりも先に若い男の方、レドが立ち上がって口を開いた。笑顔は浮かべていたが突然現われたヤドリを不審に思っているのは明らかだった。席を立ったのも警戒してのことだろう。
「俺の知り合いから、本を預かってるってんで来たんだが、なんか知ってるか?」
「私が貰った本のことなのかな?」
 その問いに先に反応したのは反対に座っていた少女の方だった。青々とした植物の髪を見て、初めて少女が人間でないことにヤドリは気づいた。
「お、ちょっと見せてくれー・・・ふお!」
 そういって振り返りながら伸ばした手を横から突然掴まれ、慌てて振り払おうとしたが予想以上の力にびくともしなかった。
 腕の先へ視線を走らせると、掴んだ本人のはずのレドが何故かしまったという風に慌ててヤドリの腕を放して、フレーゼは困った顔でレドを見ていた。
「びっくりした」
 それは俺のセリフだ、と怒鳴りそうになるのを抑えてレドをじとりと見た。
「あ、あはは、本でしたよね。さっき返してしまいましたけど・・・」
 誤魔化し笑いを浮かべながら、本棚を指差す。
「お?」
「でも多分さっき誰か持っていってしまいましたよ」
「な、なに!?」
 ヤドリはまともに驚く。
(おい、どういうこった?)
 考えるフリをして口に手を当てて、小さく囁く。
(誰かが借りてっちゃったみたいだね)
 ヤドリが小さく舌を打つ。
「持ってったの、どんなヤツか覚えてるか?」
「・・・んんー、白い神官衣の背の高い人だったかなぁ?」
 ちょっと考えてからレドは答えた。
「サンキュ」
 ヤドリは一言だけをその場に置いて即座に身を翻すと、出口から廊下のまばらな人の流れに飛び込んだ。
「プリーストか。そいや居やがったな。途中一人出っ張ってんのが」
「うん、来るときすれ違ったあの人だ。追いつけるかな?」
 不安そうなハクの言葉をヤドリが鼻で笑い飛ばす。
「俺は忍者だぜ?しかもヤドリだぜ!?」
 よく判らない自信を見せる。
ヤドリは地面を蹴り、廊下の人の流れを一気に飛び越えていく。

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